養蜂家の藤井高治、春を追って南から北へ旅をしながら養蜂をしている。
自然環境に影響される養蜂とはどんな仕事なんでしょうか?
又、養蜂するためには何か資格がいるのか、まとめてみました。
養蜂家 藤井高治はどんな仕事をしていている人?
藤井高治さんは、福岡県朝倉市の藤井養蜂場の3代目社長である。
転地養蜂というスタイルで明治から代々100年以上も養蜂を続けている。
養蜂のスタイルは大きく分けて「定置養蜂」と「移動養蜂」の2種類があります。「定置養蜂」は一か所でとどまり、その場所に咲く花の蜜を採るに対して、「移動(転地)養蜂」は春から半年くらい、特定の花の開花時期に合わせてミツバチたちと共に全国各地を移動し、採蜜する方法。
毎年、4月になると鹿児島や熊本でレンゲのはちみつの採蜜が始まり、5月には青森でりんごの採蜜、6月には秋田でトチやアカシアのはちみつの採蜜を行い、最後は北海道へ渡ります。(採蜜は秋まで続きます~)
転地養蜂とは、全国各地の花の開花の時期にその場所へ移動し、ハチを連れて移動しながらハチミツを採取するスタイルです。
藤井養蜂場では若手からベテランメンバーまで10人ほどで、約半年間各地の花を追って生活をしますが、ハチたち約2,000群(60,000匹)も一緒にトラック数台で移動していきます。
その1日は早朝から、早い時は2時に巣箱を設置している森まで移動し準備をし、4時ころから採蜜作業が始まります。
なぜ朝の採蜜かというと?~
ハチたちは1日集めた蜜を、夜に羽を使ってあおいで水分を除いて濃厚なハチミツを作りますので、午後になるとその日集めた蜜が混ざって薄くなってしまうからです。
・・・ハチは24時間営業で休みなしで働いているって凄いですね!~
採蜜の作業ですが、
巣箱の中には巣枠が数枚入っていて、その巣枠に付いているロウの蓋を取り除いて遠心分離機にかけ流れ出るハチミツをろ過して一斗缶に詰めていきます。
最盛期には、こうした設置場所が何か所もあるそうで、藤井高治さんら養蜂家は、これらの機械化できない一連の作業を祖父の代から引き継いで坦々とこなしています。
すばやくしないと当然ハチが荒れてきて、手袋をしなかった頃は1日に数百か所も刺されるほど大変な作業だったそうです。
そして採蜜がおわる秋以降は、ハチ作りの作業となります。(次の年の採蜜用の女王バチを育てる)
藤井さんは『ハチは子どもみたいなもんです』という。
養蜂家 藤井高治さんの仕事は、養蜂作業だけでなく「ハチと養蜂家を育てること」です。
ここで修業して巣立った200人以上の弟子と、養蜂を守り、ミツバチを守り、そして自然を守る(花粉媒介の重要性)ことにもつなげていくことが藤井さんの仕事です。
養蜂は自然とともにあり、ハチによる花粉媒介が重要!?
藤井さんは今まで、農薬の影響でハチを失ったことが幾度もあったそうですが、農薬の影響は「関連性がはっきりしない」とうやむやにされてきました。
しかし、何度も訴え続けた結果、県や国に『ハチを殺してはいけない』という認識がもたれ、使用農薬や期間が共有されるようになりました。
それは、養蜂のハチが自然界だけでなく農業でも花粉交配の役割が重要だと理解されてきたからです。
養蜂家はハチを通じて、自然と共に生きてきでいますが、「昔と比べて、春にはモンシロチョウが飛ばない。秋にはトンボも飛ばない。 そして蜜が採れなくなりました」と言っています。
これは、ミツバチや送粉者を取り巻く状況が急激に悪化し、世界的な減少が懸念されていることになります。
ハチによる花粉媒介の経済効果ですが、関係機関の報告によると国内では数千億円、世界では数十兆円規模という試算があります。 まさにハチなしでは、国内の多くの作物が実らない状況になっていることは確かです。
大切なことは養蜂を守り、ミツバチを守ることです。
年々減少している養蜂家ですが、彼らの仕事は「自然を守ること」につながっています。
養蜂家って資格が必要なの、又平均年収はどれくらいなんだろう?
そもそも養蜂家になるためには・・・
専門の学校はありませんので、養蜂関係の企業に就職するか、養蜂家のもとで修業することになります。
企業に入った場合、養蜂だけでなく出荷や食品等の製造など一連の流れが解りますし、それなりの収入が保証されるため、養蜂家として独立する前に学ぶ場合に適していると言えます。
しかし、養蜂家になるための一番の近道はやはり、養蜂家のもとへ弟子入りして学ぶことでしょう。
飼育方法やその養蜂場独自のノウハウなどもあり、生きた現場での実践が効果的です。
では、養蜂家になりための「資格」はというと・・・
特にありません!
但し、ミツバチを飼育するための「飼育届」の提出が義務化されています。(養蜂振興法により、各都道府県の家畜衛生保健所へ提出。)
一方、どれくらいの収入があるのでしょうか・・・
養蜂家の平均年収は300万円ほどですが、養蜂場の規模やその年の気候条件によっても大きく変動します。
ハチの巣「1群」単位で数万円の利益があるとも言われています。
いくら「いいハチ」を大量に育てても、自然条件に左右されるため収入は安定しづらいと言えます。
「NHK プロフェッショナル」にて、養蜂家 藤井高治が紹介される!
NHKのプロフェッショナル仕事の流儀 で、2023年6月28日(水;19:57 〜 20:42)に「旅する家族、春をつなぐ 〜養蜂家・藤井髙治〜」が放送されます。
春を追って南から北へ、旅する養蜂家・藤井髙治(79)の60年変わらぬ生き方。鹿児島のレンゲ、青森のリンゴ、開花を迎えた花から花へ蜂とともに旅をする。3代続く養蜂家の家に生まれて60年、環境の変化に翻弄されながらも、家族と蜂と分け合う暮らしを続けてきた。流通する蜂蜜の中で国産はわずか5%、その中でも希少な花の香りが広がる藤井の蜂蜜。 春が訪れ、また旅が始まる。蜂たちが教えてくれたこと。
まとめ
養蜂家 藤井高治の仕事内容についてまとめてみました。
養蜂家って、とくに転地養蜂は全国各地の春を求めて訪れたり、とれたての天然ハチミツを食することができて、良いイメージを持っていましたが、朝早くからの作業が必要で、重労働で大変な仕事だと認識しました。
又、ミツバチが自然界だけでなく農業でも花粉交配の重要な役割があり、
養蜂家の仕事は「日本の自然を守る」ことなんだと改めて認識しました。
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